どちらが悪いというのではないけれど……
この話を聞いて、あなたはどう思っただろうか。
女性用媚薬女性と男性の違いは多くあるが、双方は互いのそれに気付かず自分の感覚で物事を判断する。自分の中の“常識”である。ことに女性は生真面目さゆえにその傾向が強い。
「私がこれだけしているんだから、彼もきっとそうだろう、このくらいは当然やっているに違いない!」
……と、無意識のうちに思いこんでしまうのだ。A美のような地道な努力家は特にそう考えてしまいがち。そして「自分の努力レベルに達しない男性」をいつの間にか許せなくなってしまうのだ。今回のケースの場合はそれが「B男の貯金額」だった、ということなのだろう。
総務省統計局が単身世帯を対象に行った調査によると、30歳未満の男性の貯蓄現在高の平均が151万円なのに対し、30歳未満女性の貯蓄金額は198万円と、50万円近く女性のほうが多いそうだ。まれにとんでもない浪費家もいるにはいるが、たいていの女性はA美のように手堅い経済観念を持っていることが多く、男性はもうすこしお気楽だ、と言えるだろう。
ちなみにこれが30代になると、男性の貯蓄平均額は542万円とグッと跳ね上がる。一般的なデータだけを見ればA美がB男の預金通帳にある程度の期待をもっていたのもムリはない。
けれど人間は、特に恋愛は決してデータ通りにはゆかない。大多数にあてはまる平均がそのままあなたと彼にも通用する……ということではないのだ。
A美が語っていた通り、B男には他人に追及されるような落ち度はない。彼が遣い込んだのは自らの労働で得た給金だし、大手企業に勤め羽振りがよいとなれば若いうちに遊びたいのも頷ける。「自分の金を自分の好きなように遣ってなにが悪い!」という訳だ。彼の妻でもない限りB男の貯蓄が平均に達しないことを責められるものは誰もいない。
女性用媚薬そしてA美はまだ「B男の妻」ではなく、「恋人」でしかなかったのだから。